コミカライズ編集者が2018年を振り返ってみる

トレンド・プロ出版編集部の檜山です。

 

 

 クリスマスも終わり、すっかり年の瀬になりました。

 

 

ビジネスコミック業界にとっては、2018年は節目の年です。

多作だった2017年を終え、「どの本をどうやってコミカライズするのか」今まで以上に考え続けた1年だったように思います。

トレンド・プロとしては、新たなジャンル・新たなつくり方に取り組んだ1年でもありました。 

 

 

 

私自身が2018年もっとも取り組んだことは、会社外のコミュニティに所属することでした。

「ビジネスパーソンを対象とする本を作っているのに、会社の人以外に知り合いがいないなんてダメだ!」と、一念発起して、会社の外での繋がりをつくることに努めました。

 

 

その試みのひとつがオンラインサロンです。

私がこの1年で入会したオンラインサロンは、「箕輪編集室」「風呂敷畳み人サロン」「ネットマンガラボ」「漫画サービスを創るサロン(仮)」の4つ。いくつかは退会してしまいましたが、社外のビジネスパーソンと話す時間が格段に増えた1年間でした。

 

 

 

会社の外に出てみて、コミカライズ編集者として痛感したことがふたつあります。

それは、「私の担当作を読んだ人は、誰も私を知らない」ということ。

そして、「赤の他人が作ったものには、お金を払いづらい」ということ。

 

 

 

 

ビジネスコミックはビジネスパーソンの悩みを解決する本です。

だから、誰かのニーズは必ずあるはずの本です。(テーマ設定が間違っていなければ!)

でも自分が何に悩んでいるか分かったら、苦労しませんよね?

後はもう、解決方法を探すだけなんですから。

自分の悩みが分からないから解決できないんですよね。

悩みが分からないから、どの解決方法を選べばいいか分からないんですよね。 

 

 

ビジネスコミック、またはビジネス書がなかなか売れないときは、「何が分からないのか分からない」が蔓延しているときなのかもしれない、というのが会社の外に出て得た私の仮説です。

 

 

『7つの習慣』のマンガ版が一世を風靡した2014年に比べて、世の中の「分からない」はもっと根源的なものになってきているように思います。「分からない」ではなく、「信用できない」になってきているのかもしれません。

 

「マンガで分かるって本当?」

「この本で悩みが解決できるって本当?」

「〇〇さんがおすすめしてたけど、本当?」

 

読者がいだく不安に、対応できているのか?そんな問いが私の中で大きくなってきています。

 

 

じゃあ、どうすればいいか。

 

 

「分からない」を減らしていくしかありません。

 

 

 

 

とはいえ「分からないが分からない」状況にあるわけですから、何を明らかにしていけばいいのか、なかなか難しい問題です。

でもひとつだけ、いますぐに減らせる「分からない」があることに気づきました。それが「誰がつくったものなのか分からない」です。

 

 

 

いつからか「生産者の顔」がついた野菜が売られるようになりましたね。あれはまさしく「誰がつくったものなのか分からない」を減らした状態です。作り手の顔を見せることで消費者の不安を取り除き、安心して買ってもらえるという効果があると聞いています。

 

 

 

本も「作り手の顔」を見せれば買いやすくなるのかもしれない。もっと身近に感じてもらえるかもしれない。編集側である私自身を「さらけ出す」ことは、読者の信用を得るひとつの解なのではないか、そう思います。

 

 

 

その結果の行動として、実名でのtwitterがあります。出版業界でも実名&実際の顔写真でtwitterをやっている方は増えてきていますよね。

また、マンガ制作時には私自身の「分からないこと」をさらけ出し、著者にぶつけてより読者に共感してもらえるような内容に、ブラッシュアップすることも心がけています。

 

 

2019年のビジネスコミック業界、ひいては出版業界、日本の経済がどうなっていくのか想像もつきませんが、「分からない」と「さらけ出す」をキーワードに来年も頑張っていきたいと思います。